Breast Cancer 乳がんとは
乳がんとは?
乳がんとは、もちろん乳腺の組織にできる悪性腫瘍です。
もう少し詳しくお話ししますと、乳腺には母乳を作る小葉と、母乳を乳頭まで運ぶ乳管からなり、乳がんの約90%は乳管から発生する乳管がんで、5〜10%は小葉から発生する小葉がんです。はじめのうちは、がん細胞は小葉や乳管内にとどまっていますが外を包んでいる膜を破って周囲の組織に広がっていきます。乳管内にとどまっているものを非浸潤がん、乳管の外に出たものを浸潤がんと言います。
乳がんは、日本人女性の約9人に1人がかかると言われていて
日本の女性がかかるがんの中で最も多くなっています。
年々増加傾向にあり2020年に新たに乳がんと診断された患者数は92300人になります。30代から徐々に増加し、発症のピークは40代から60代ですがそれ以降もさほど減少せず老年期にも多いのが特徴です。乳がんは、早期に発見出来れば高い確率で完治が期待出来ます。しかし、進行するとリンパ節や骨、肺、肝臓などに転移し様々な症状を引き起こしたり命を脅かしたりするようになります。
乳がんの原因は?
私たちの体は60兆もの細胞からなり、それらの細胞は遺伝子をコピーしながら細胞分裂を繰り返していきます。その際に何らかの原因で遺伝子に傷がつくことによりがん細胞が発生します。喫煙、飲酒、化学物質、食の欧米化などが原因とされますが、加えて乳がんは女性ホルモンであるエストロゲンが密接に関係しています。また親から乳がんになりやすい遺伝子を受け継ぐ遺伝性の乳がんも存在し、乳がんの5〜10%と言われています。エストロゲンに影響を与え、乳がんのリスクを高めるとされている要因には、次のようなことが挙げられます。
これらは乳がんのリスクを
高めるかもしれません
- 初潮が早かった
- 閉経が遅かった
- 初産が遅かった
- 出産経験がない
- 授乳経験がない
など
生活習慣も乳がんに影響する恐れがあります
他のがんと同じように、生活習慣の乱れも乳がんのリスクを高める要因になり得ます。
加えて、乳がんになった家族がいる方、乳腺疾患になったことがある方は、そのリスクがより高まると言われています。
こんな生活習慣にご注意ください
- アルコールの摂取
- 喫煙習慣
- 運動不足
- 閉経後の肥満
- 脂質の多い食習慣(食生活の欧米化)
- 乳がんになった家族がいる
- 乳腺疾患になったことがある
など
乳がんの症状は?
特に初期には、ほとんど症状がありません。
進行すると、しこり、乳房の変形、乳頭からの分泌物などが見られることがあります。
乳がんのしこりの特徴としては、やや硬く、触れても動きにくい点が挙げられます。
ただ、これにあたらないタイプのしこりであっても、乳腺症や乳腺線維腺腫などの病気が考えられますので、セルフチェックでしこりが気になったときには一度当院へご相談ください。
その他、次のような症状が見られた時には、乳がんの可能性を疑います。
こんな異変に気づいたらすぐにご相談を
こんな異変に気づいたらすぐにご相談を
- 乳房、腋の下のしこり
- 乳房のえくぼ状のへこみ
- 乳房の変形
- 乳頭からの血・膿のような分泌物
- 乳房の湿疹、発疹、発赤、ただれ
など
乳がんのステージは?
乳がんは、「しこりの大きさ」「リンパ節への転移」「他の臓器への転移」に応じて、0~4の各ステージに分類されます。
乳がんのステージの分類
ステージ0(病期0)
- がんが、乳房内の乳管に留まっている(非浸潤性乳管がん)
ステージ1(病期1)
- しこりの大きさが2㎝以下であり、腋の下にあるリンパ節への転移がない
ステージ2(病期2)
A
- しこりの大きさが2㎝以下であり、腋の下にあるリンパ節へと転移している、または
- しこりの大きさが2㎝を超え5㎝以下であり、腋の下にあるリンパ節への転移がない
B
- しこりの大きさが2㎝を超え5㎝以下であり、腋の下にあるリンパ節へと転移している、または
- しこりの大きさが5㎝以上であり、腋の下にあるリンパ節への転移がない
ステージ3(病期3)
A
- しこりの大きさが5.1㎝を超え、腋の下にあるリンパ節へと転移している、または
- しこりの大きさに関係なく、腋の下にあるリンパ節への転移が強い、または
- しこりの大きさに関係なく、腋の下にあるリンパ節への転移はないものの、胸骨の内側にあるリンパ節へと転移している
B
- しこりの大きさ、腋の下にあるリンパ節への転移に関係なく、皮膚や胸壁へと浸潤している(広がっている)
C
- しこりの大きさに関係なく、腋の下にあるリンパ節、胸骨の内側にあるリンパ節へと転移している
ステージ4(病期4)
- 乳房以外の臓器へと転移している
どんな部位に乳がんはできやすい?
乳房の外側上部にできやすいとされています
乳がんのうち約半数は、乳腺が集まっている「乳房の外側上部」に発生すると言われています。
次いで、「乳房の内側上部」や「乳房の外側下部」に多く見られます。
ただもちろん、それ以外の部位にも発生し得るものです。
セルフチェックの際には、必ず乳房全体をチェックするようにしましょう。
遺伝性乳がんについて
遺伝検査のご相談を承ります
遺伝性乳がん(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)とは、遺伝が発症に大きく関わっている乳がん・卵巣がんのことを指し、これらのがんのリスクを調べるための検査(遺伝検査)があります。
遺伝検査は採血のみで行えます。
「がんの遺伝子を持っているかどうか知りたい」という方は一度ご相談ください。